『　捨ててしまったのに　』

マタイによる福音書21章33節〜46節

​

　みなさんは、捨ててしまったもので、後悔しているものがあるでしょうか。捨てたということは、一度は、いらないと思ったということです。もう、必要ない、価値がない。そう考えて、私たちは、捨てるわけですが、後になって、そのものの本当の価値に気づいた時、私たちは、どうするでしょう。

　本日の箇所には、主人にぶどう園を貸し与えられた農夫たちのたとえ話が語られています。農夫たちは、自分勝手で、残酷で、ひどい人々でした。彼らは、主人が収穫を受け取るために遣わした僕たちを、ことごとく殺してしまうのです。最後に主人は、自分の息子を彼らのもとに遣わすのですが、息子さえも、手にかけて殺してしまうのです。その理由は、相続財産を得るためでした。しかし、それは、大きな間違いでした。ぶどう園の主人は、彼らと和解をするため、彼らと財産を分け合うために、息子を送ったのです。彼らは、息子と共にいることによって、財産を相続することができたのです。それを知らず、彼らは、息子を殺してしまうのです。

　このたとえ話によって語られている息子とは、イエス様ご自身です。人々は、救い主と信じず、イエス様を十字架につけて殺してしまいました。普通に考えれば、そこで終了。取り返しのつかない大事件です。でも、神の物語は、そこで終わらないのです。人間によって捨てられてしまったイエス様を、神は、復活させるのです。そうすることで、なんとか、私たちは、今も、神と結びついていられるのです。『これは、主がなさったことで、／わたしたちの目には不思議に見える。』神の不思議によって、今日も、私たちは、赦され、生かされているのです。

（村田悦牧師）